川に流れていたらどう考えてもおかしい物が流れてきた場合、上流で何かがあったのだと思うのは当然のこと。
わらじが流れていたのなら、ああ誰かが川べりで足を滑らせたのだろうとか。
野菜が流れていたのなら、ああ誰かが洗っている途中で籠をひっくり返したのだろうとか。
事実はともかく、おおよそ理由や状態も察することができる。
しかし、それよりも重たい物が流れて来たとしたら、はたしてどうだろうか。例えば、ひと一人分くらいの大きさの桃が流れてきたとすれば……。
川で夫婦二人分の洗濯物を洗っていたおばあさんが、今そのような状況を目の当たりにしていた。作り物か何かとしか思えない、丸々とした巨大な桃が川上からせせらぐ水に揺られて流れてくるではないか。
当然、共白髪になるほど長く生きてきたおばあさんでさえ、人生の過程でこのような光景に出会ったことは無かった。目を皿にし、開いた口が塞がらない。さながら魚である。
思わずおばあさんは洗濯物から手を離し、吸い寄せられるように川の中に一歩一歩足を進めていた。ゆらりと流れる大きな桃に両手を伸ばして、ひしと掴む。
桃特有の甘い芳香がすっと鼻に入ってが、いざ持ち上げようとすると見た目に反して随分と軽かった。重さはあるにはあるが、せいぜい赤ん坊くらいの重量である。おばあさんもこの程度なら充分持ち上げることができた。
「おや、これは良いおみやげになるわ」
手に取るまでは訝しく思っていたものの、甘い香りのする身がずっしりしたそれを実際に触れてみると、怪しい物体などでは無いとなんとなく感じた。
ただ大きいだけの桃なら、切り分けておじいさんと食べよう。そうじゃないなら庭にでも埋めれば良い。その程度に考えていた。
残りの洗濯物をさっと洗い終え、早々に切り上げて家路を急いだ。
黄昏時になった頃におじいさんは帰宅したが、家の中に置いてあった巨大な桃を見るや否や素っ頓狂な声を上げた。こんな物が目の前にあったのだから当然である。
おばあさんから一通り事情を聞くと、桃を突っついたり手で叩いたりして色々と試してみたが、若干弾力のあるざらざらした淡紅色の物体は、確かに単なる大きな桃としか思えなかった。
さてどうしようかとお互い悩んだが、とりあえず切ってみて、食べられる状態なのかくらいは見ておこうという結論に至った。
かまど近くに置いてある包丁を差し込んでみると、やはり種も大きいのか半分にも行かないくらいの所で刃が止まってしまう。
なので、切る方向を変えるために一度包丁を桃から抜いた。
その時だった。
太陽を直視したようなまばゆい光が桃から放たれ、家の中を真っ白に包み込む。おばあさん達は目を閉じる暇も無く、ただただ大口を開けながら光るそれを見つめていた。
やがて何秒か経ったところで光は消えて、何のこともないいつもの家の中。家具が吹き飛んだわけでも、何かが消えたわけでも無い。
いや、正確にはその逆で、"現れて"いた。
桃のあった場所には、ぱっくりと綺麗に二つに割れた桃だった物と、男の子の赤ん坊が一人いた。
おじいさんもおばあさんも理解がまったく追いつかなかった。この状況にすぐ適応できる人間がいるはずがない。
二人は唖然としたまま顔を見合わせていたが、直後に赤ん坊が泣きはじめたためおばあさんが近寄って抱き寄せる。
泣き続ける赤ん坊をあやしながら、おばあさんはおじいさんに言った。
「これはきっと、神さまがくださったにちがいない」
二人には子供がいなかった。どうしても子供が出来なかったのだ。
おばあさんは赤ん坊を抱いた時、まるで自分の子供と孫が一緒に出来たような得も言われぬ感情が込み上がる。子供を持った親の気持ち。
川から巨大な桃が流れてきて、いきなり光って中から赤ん坊が出てきた……自然ではありえない現象が続いたことでおばあさんは思った。哀れんだ神様仏様が、私達に遣わせてくれたのだろうと。
おじいさんは微笑みながら黙ってうなづいた。同様のことを考えていたに違いない。
二人はこの贈り物に『桃太郎』の名を与え、我が子のように育てることを決意したのだった。
さて、歳月が過ぎるのは早いもので、かの桃太郎もあっという間に立派な少年へと成長していた。
おじいさんとおばあさんはというと、わずかに髪の白さが増えたこと以外は特に病気も何も無く平穏無事に過ごしていた。
そんなある日、夕餉の団欒の場において桃太郎がこんなことを言った。
「ぼく、鬼ヶ島(おにがしま)へ行って、わるい鬼を退治します」
突然の一言。おじいさんとおばあさんは何を言い出すのかと狼狽した。
彼の言う鬼とは、近年周辺の村や田畑を荒らし回っている人型の怪物のことである。略奪で家や財を失う人もいれば、作物を根こそぎ踏み荒らされる人もいる。桃太郎の家も彼が来て二回ほど畑を荒らされたことがあった。
それを退治すると言う。
蛮勇である。まだ子供なのに、大人以上に大きな鬼を調伏するなど不可能に違いない。
二人は桃太郎に説得の言葉をかけたが聞き入れられず、彼はいたく真剣な目で首を横に振るのみだった。
もはやかける言葉も無くなり始めた頃、ふと彼がこの家に来た時の出来事を思い出す。
あれは人知ではありえない奇跡の連続、それは神の所業と考えても充分合点がいった。
ひょっとしたら、神様がこの子を遣わせたのは、幾年にも渡り人間を困らせた鬼を退治せんがために立派な男子に育ててくれと、そういう意味だったのかもしれない。
考えれば考えるほど右顧左眄に答えが巡る。桃太郎への返答はその日は一度置き、二人はしばしの時間を貰った。
数日後、明朝。
桃太郎は夫婦の家の前にいる。体に合うように仕立てられた陣羽織を着て、頭に鉢巻きを付けた姿で。
二人はよく話し合った結果、鬼退治へと行かせることを決めた。神様が目的あってこの子を託したのなら、それに沿うのが最も妥当なのではと考えたからだ。苦渋の決断であった。
村の者達に彼の生い立ちと鬼退治の話をした時、皆ある程度の納得の意向を見せていた。それほど鬼の襲撃で村は疲弊していたのである。
陣羽織も村人の持ち物を体に合うように直し、鎧までは無理だったが腹当も借りた。裕福な庄屋からは脇差しを一つ貰った。皆の少ない蓄えから路銀も工面してくれた。
桃太郎は夫婦の家の前にいる。離別の悲しみと成長の喜びが混ざった表情を浮かべる二人を前にして。
おばあさんは何も言わずに一つの包みを彼に渡した。手製のきび団子がたくさん入った包みだった。
覚悟と朝日を背に負い、こうして少年はひっそりと道を征く。
一人旅が数日続いた桃太郎。善意の路銀はあまり使わず、なけなしのきび団子を少しずつ食いつなぎながら目的地を目指していた。
そんなある時、桃太郎はふいに背後から声をかけられた。
「桃太郎さん、どこへ行くのですか?」
声を頼りに後ろを振り向くも、人影は見当たらない。むしろ声が聞こえるまで気配すらしなかった。
桃太郎は首をかしげた。そもそも旅が始まってから他人に名乗ったことは無いのに、何故。
ここで足元に荒い息遣いを感じた彼が下を向くと、一匹の犬がいるではないか。
まさか犬がしゃべったのか、と普通なら疑問に思いそうなものだが、桃太郎はその場にしゃがむと。
「鬼ヶ島へ、鬼退治に行くんだ」
その一言を犬に向けて発した。さも犬が人語を介するのが当然とばかりに、驚く様子も一切無い。
犬はその言葉を聞くと、しゃがんだ桃太郎の腰の辺りに鼻を近づけて、何やら匂いをじっくり嗅ぐと再び彼の方に顔を向けた。
「それでは、お腰に付けたきび団子を1つ下さいな。おともしますよ」
やはり犬は人間の言葉を話した。言葉に合わせて口を動かすというよりも、わんわんと吠える時の動きに後から言葉が付いて来る感じだったが、間違いなくその口から放たれた。
対して桃太郎は、やはり驚くことも無くうなづいて、腰に付けた包みからおばあさん特製のきび団子を一つ差し出した。
犬は餌を目の前にした時のように桃太郎の手から直接きび団子に噛み付き、餅状のきび団子の粘性に苦慮しつつも何とか丸一つを胃に収めた。
桃太郎がその場から離れようとすると、律儀にも傍に寄り、彼と同じ歩行速度でぴったりと横に付いた。お供になるというのは本当らしい。
こうして少年一人と動物一匹が道を征く。
お供が増えた次の日。
両脇に薮のある細道を進む最中、がさごそと掻き分ける音が迫って来た。
忠犬はすぐさま臨戦態勢を取って低く唸り出し、対して桃太郎は脇差しに手をかけることもせずその場で音の方向を見つめていた。
やがて薮から体を出したのは山賊や物盗りの類ではなく、一匹の猿だった。
猿は一人と一匹を交互に何度か見渡して、最後にまた桃太郎を見る。
「桃太郎さん、どこへ行くのですか?」
犬と同じく人語を話す。見た目が人間に近い分、端から見れば犬よりはまだ違和感が無いのではと思うだろう。
「鬼ヶ島へ、鬼退治に行くんだ」
昨日と同じことを猿にも言うと、猿は頭をかきながら彼の周囲をぐるりと一周して同じ場所に戻った。
「それでは、お腰に付けたきび団子を1つ下さいな。おともしますよ」
左手の茶色い人差し指できび団子の包みが結えてある部分を指差しながら言った。飼われていたとしか思えない非常に人間臭い姿。
桃太郎はその言葉を聞いて首を縦に振り、きび団子を一つ差し出す。すると猿は諸手を挙げて跳びはね、瞬時に手からそれを掠め取った。
片手に掴んだまま犬に駆け寄ると、そのまま飛び乗り、背に腰掛けてきび団子を食べ始めたのだった。
野良仕事の昼休憩を思わせる光景には、さすがの桃太郎もこれには堪えきれず声を出して大笑い。椅子代わりにされた犬は釈然としないのか終始無表情で動かず、しかし吠えたり追い払ったりもしなかった。
こうして少年一人と動物二匹が道を征く。
さらに次の日。
背の低い草が密集する野原の中の道を進んでいた時、小さな色濃い物体が目にも止まらぬ速さで一行の前を通り過ぎた。
あまりの速度に桃太郎は辺りを見回し、犬は耳をぴんと立てている。馬に跨がるように犬の上を陣取る猿だけは特に興味無いらしく、耳に指を突っ込んであさっての方向を見ていた。
突入したと思われる場所の草を眺めていたら、間からもそもそと一匹の雉が這い出て来た。
「桃太郎さん、どこへ行くのですか?」
くちばしを上下に動かしながら雉が甲高い声で話す。累計三度目の人語動物との邂逅である。
「鬼ヶ島へ、鬼退治に行くんだ」
累計三度目のやり取り。既に桃太郎も手慣れたもので、前二匹よりも若干早めに鬼退治の旨を伝えた。
それを聞いた雉は二・三歩ほど桃太郎に近づくと、その場で首をかしげたり、両翼をばさばさと大きく羽ばたかせた。
「それでは、お腰に付けたきび団子を1つ下さいな。おともしますよ」
この雉も有無を言わさず肯定の返答をした。これでお供は三人。
桃太郎は微笑みながらきび団子を取り出して差し出すと、雉はケンケンと鳴いて再び嬉しそうに羽をばたつかせた。きび団子をくちばしでつまみ上げてから地面に一旦置き、少しずつ突きながら食してゆく。
それを見た猿がゆっくりと身を乗り出そうとしたが、目下の犬が小さく唸りだしたのですぐに重心を元の位置に戻した。意地汚いところもやはり人間臭い。
しょうがないので桃太郎は残りのきび団子を犬と猿の両方に渡すと、犬の背で手を叩きながら大喜びした。当然ながらうるさい上に背中でばたばたと動かれては迷惑なわけで、犬が一声大きく吠えると、猿は途端に静かになった。
こうして少年一人と動物三匹が道を征く。
鬼ヶ島に最も近いと聞いていた漁村まで来た一行だったが、鬼の暴れた影響が非常に強く出ており既に廃村になっていた。
これでは話を聞くのもままならないため、さらに離れた別の場所にある漁村に足を運ぶ。
離れた漁村も多少荒らされていたが、かろうじて人はまだ住んでいた。
桃太郎は村の漁師に鬼ヶ島の海岸、最悪沿岸部までで良いので漕ぎ出して欲しいと懇願したが、鬼の住処まで船を出すなど金を積まれても嫌だと漁師達に断られてしまう。
命が危険に晒されるのだからこの判断になるのは当然だった。しかし、桃太郎達もその危険を取り除くために行かなくてはいけないのだ。
考え抜いた結果、残りの路銀のすべてと引き替えに小船を一艘貸してほしいと網元に願い出ることにした。事実を話しても網元は難色を示したものの、彼らの真摯な思いについに折れ、小船を工面してくれた。
一行は礼を言って路銀を渡そうとしたが、網元はそれを突き返した。以降背を向けて何も語らず、黙してその場に立つのみ。
桃太郎はここで悟った。
これが鬼に苦慮する民の総意。これが鬼に対してどうして欲しいという思いの形なのだと。
桃太郎は彼と同じく口を閉じ、背中に向けて深々と頭を下げた。そして三匹を引き連れて小舟に乗り込み、一路鬼ヶ島へと漕ぎ出すのであった。
砂浜の他にはごつごつとした岩盤ばかりが表面を覆う荒涼とした鬼ヶ島。木も緑も何も無く、精々雑草程度がその辺に生えているくらいだ。鬼の姿も当然見えない。
その代わりに、風穴や洞窟の入り口のようなものがあちらこちらに空いていることから、鬼はこの中を住処としているのではと桃太郎は考えた。
彼らの中で最も鼻の効く犬も、匂いはこの奥の方から続いていることを感じ取っていた。数が多すぎてどこの穴が何に繋がっているのかは皆目見当もつかないため、ここからは犬の嗅覚を信じて進むしかない。唯一の救いと言えば、鬼も暗がりでは目が効かないのか岩壁に一定距離で松明が設置されていることだろうか。
とにかく距離など気にせず進んで行くと、向こう側に松明以外の明かりが煌々と照る場所が見えてきた。そして声が聞こえる。複数の大きな笑い声。
ついに来た、と桃太郎は覚悟した。それまで横にいた犬と猿、雉を明かりが射さない壁際に待機するように指示すると、一人勇ましい足取りでその場所へ踏み出して行った。
先の場所に到着してみたら、天井が思いのほか明るいことに気が付いた。いや、天井ではなく、空があった。ここが島のどこかまでは不明だが、この空間だけやけに広くぽっかりと空が口を開けた自然の大広間だった。
その広間の中央には焚き木が赤く燃えており、周りではそれ以上に真っ赤な肌や、空より真っ青な色の肌をした者達が、盃片手に飲めや歌えやのどんちゃん騒ぎを繰り広げている。
桃太郎はその者達の姿を確認すると、先程と同じ速度でゆっくりと、まっすぐ向かっていった。
酒に酔っていても気配は感じる。鬼達のうち数人が振り返ったことを皮切りに、皆は招かれざる客人の存在に気が付いてようやくそちらの方向を見やる。子供と動物がいた。
あちらこちらで小声が聞こえる。誰かが攫ったのか、あの動物は晩餐なのか、等の種々の内容だった。
桃太郎は脇差を鞘ごと腰から外して片手に持ち、もう片手を使って頭の鉢巻を解いた。そして鉢巻で脇差の柄、鍔、鞘をがんじがらめに結び、鞘から刃を抜けないようにしてしまった。
これは斬り伏せて討伐するのではなく、不殺で生きて改心させることにより己の所業を律させようという、心の優しい桃太郎ならではの考えによるものである。
縛りに縛った刀を構えると、鬼達も瞬時に状況を察知し臨戦態勢に入った。一様にして食べ物や酒を手放し、その場に金砕棒や鎖を置いていた者はそれらを手に取り、先の呑兵衛顔もいかつい形相へと変容する。
擦れる音が鳴るほど柄をさらに強く握りしめると、桃太郎は数多の異形を目に捉えた。すうっと一つ息を吸ってから片足に体重をかけて、開口一番に怒声を放つ。
「みんな、ぬかるなよ。それ、かかれ!」
その瞬間、大部屋入口の暗い死角に待機させていた三匹のうち、まず雉が地面すれすれの低空を羽ばたきながら高速で部屋の反対側まで突っ切る。鬼達は酒で判断力が鈍っていたために、反射的に全員が雉の向かった方向に顔を向けてしまった。
この隙に乗じたのが犬と猿。双方に分かれて縦横無尽に鬼の足元を駆け抜ける。皆足元が騒がしくなったことでまるで虫を追いかけるように足で潰そうとした。
雉は突き、犬は足をかじり、猿は体をひっかく。獰猛さを見せて暴れる獣には鬼も完全に後手に回っていた。
一通り場が混乱したところで桃太郎は挑みかかる。子供の腕力でも急所を狙えば倒すことができるわけで、例えばすねを思い切り殴ったり、犬たちの援護で倒れた鬼の首元を刀で叩いたり等、確実な方法で戦力を削いだのである。
それからは信じられないような速度で鬼達はねじ伏せられていった。
原因の一つとして、まず宴をしていたということ。宴もたけなわだった頃で皆酔いと眠気でまともに戦えなかった。
もう一つ、大広間とはいえ一箇所に集中していたこと。そこで暴れたり武器を振り回したら、桃太郎達が手を出さなくとも勝手に付近の同朋に命中して自滅するのは当然。
以上の偶然が重なった結果戦力差は大いに縮まり、残りも数体になったところでついに親分格と思われる鬼が地面に手を付いた。
「まいったぁ、まいったぁ。こうさんだ、助けてくれぇ」
丁々発止の戦いが、ひいては鬼による横暴行為が終結した瞬間だった。
桃太郎は三匹に手を引くよう指示すると、親分格と話し合い、以後襲撃は慎むこと、そして襲撃してきた村などに奪ったものを返し謝罪する約束を締結させた。
鬼達は島中にある奪った宝をすべて大部屋に持ち込んだ。金銀珊瑚、小判に反物。すべて使ったりせず残しておいたのだという。
というのも、金目の物を使えるものに変えようとしても、人間から奪ったのに人間の質屋や両替商に持って行くことはできないため、結局そのまま残していたと親分格は語った。何とも間の抜けた話である。
桃太郎一行と鬼は住処にあった荷車にその財宝を詰め込んで島を離れ、網元が船を貸してくれた漁村に始まり数々の村を行脚して財宝の返却と鬼の謝罪をして回った。
最後に残った場所は、出発地点でもある桃太郎の生まれた村。
便りも安否もわからずに過ごしていたおじいさんとおばあさんは、満足無事に戻ってきた桃太郎に感嘆の涙を流したり、続いて来た鬼達に驚いたりと随分騒がしい事態になったが、すべて丸く収まったことを神様に感謝していた。
その後桃太郎は、付近の鬼を調伏させて平和をもたらした功績として、都の将軍様から広い土地と多くの報奨金を賜ることとなり、おじいさんとおばあさんと三匹の輩と共に生まれた村で末永く暮らしましたとさ。