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MURDERED 魂の呼ぶ声
発売日:2014年7月17日(日本での発売日)
開発:スクウェア・エニックスAirtight Games
発売:スクウェア・エニックス
掲載日:2015年1月12日




■死者の声を聴け

わたしのぉ〜おはかのぉ〜まぁえで〜……
泣いてくれるような人はいますか? おもに、奥さんとか彼女とか。
俺は……いません……ッ! 奥さんも彼女もいません……ッ!
欲しいんです。そう、奥さんになってくれる彼女欲しいんです。

死んだ後にも泣いてくれるような友好関係を持ちたいわー!!



だから今回は、スクエニから発売された

「MURDERED 魂の呼ぶ声」をレビューするッ!

読み方はこれマーダードですからね。モードレッドじゃないよ。





画像はPS4版ですが、自分は先にPS3版を購入してクリア→PS4版も買ってクリアという順を辿ったので
総計で2回プレイしたことになります。

PS3版とPS4版の違いは画質だけです(あとボタン配置も微妙に違う)
なので、どっちも対応したレビューになっております。


ジャンルはアクションアドベンチャーなのですが
実際のところ、ミステリー&オカルトアドベンチャーとしか思えません。理由は後述。

スクエニと、アメリカのAirtight Gamesさんによる日米共同開発! 大丈夫か!?



■自分を殺した犯人を自分で探す(語弊無し)

主人公はロナン・オコナーという刑事さん。
連続殺人鬼のベル・キラーを追っている最中、無茶しすぎて逮捕どころか逆に殺されちゃいます。
(その際に銃で胸を7発撃たれ北斗神拳伝承者になるパッケージみたいに風穴開けられる)

死んじゃったものの、熱血ロナンは自分を殺した連続殺人の真相を幽霊になった状態で探す
そんなストーリー。


そう、ゲーム中はプロローグ以外は半透明になった幽霊主人公を操作するという

SFオカルトチックな刑事モノなのです


この海外ドラマみたいな感じ。好きです。




■幽霊であることを最大限に活用

半透明の幽霊になっちゃっいました。だから人間でできなかったことができます。

まず、幽霊なのでなんでもすり抜けられる
車? 壁? 人間? 関係無い、全部素通り可能
3Dゲームにおけるオブジェクトバグを連想させる素通りっぷりは爽快です。


しかし何でも素通りできるということでもなく、幽霊になったからこそ視認できる
「霊界の壁」的なものとか、魔除けが張ってあって入れない家とか、そんなのもかなり多い。

なんでそんなものがあるのかって説明すると、収集要素の内容とかストーリーの根幹ネタバレにつながっちゃうので
このレビューでは割愛します。



そして、何より生き物に憑依できること

これが本ゲームにおける最重要要素であり、メインシステムです。


憑依したあとできることは、『思考を読む』(状況によっては『盗み聞き』)『思念操作』『のぞき見』の3つ

『思考を読む』は、キャラが今考えている内容を読み取れます
『思念操作』は、事件現場で手に入れた証拠を使って、憑依したキャラの隠し事や考え事を暴いたり言わせたりできます。
『のぞき見』は、相手の視界を使って、手元のノートやパソコン画面を見て情報を得ることができます。(つまりはSIRENシリーズの視界ジャックです)


もちろん、すべてのキャラクターにそうできるってことでもなく、あくまで事件の捜査中に3つを駆使する感じですね。


思考を読むのだけは全キャラに使用可能ですが、これが面白い
例えば、一見清楚に見えるカップルの男の方に憑依して思考を読むと「こいつ脈ありだな!」とか
公園でブランコに座る人に憑依すると「女性トレジャーハンターのゲームあったわよね……」とか


ツイッターの投稿内容みたいな、しょうもない心の声が聴きまくれる

無駄にバリエーションも豊富なので是非探してみてください


他にもポスターガイスト引き起こして人間の気をそらしたり、テレポートしたり色々できます。その辺は自身でプレイしてたしかめてください。




■個性豊かな幽霊さん達

主人公が幽霊になって、見えないものが見えるようになる。上記のとか。
他に何が見えるのか? 同じ幽霊も見えます。

このゲームにおける幽霊っていうのは、要は『不慮の死などで死にきれず、未練があってこの世に残っている地縛霊』的な方々です。
地縛霊といっても悪い人達(幽霊だけど)じゃないです。普通に話せるし、中にはよからぬ企みをしている変なやつもいます。


未練があるので成仏できない……そんな幽霊を救ってあげるサブイベントもあったり。


ドンチャン騒ぎして隣人に殺されたヤク中とか、彼氏の浮気を疑って自殺したメンヘラとか

そんなのばっかりですけどね


まともなのが1人だけいるけど、他の人は自業自得


そういうサブイベント以外でも話しかけられる幽霊はそこらにいるのですが、どいつこもいつも強烈。


・親族が墓参りに来ないから墓が汚いと嘆く女

・霊だから映らないのを良いことに、テレビカメラの前でイエーイピースピース! ってやってる男

・死んでいることを気付かずに、生前の奨学金取り消しの有無を心配する学生

・片思いの女性を死んでも付きまとうストーカー



これだけじゃない、まだまだいっぱいいる!


なまじゲーム性がイマイチ(後述)なので、こういう部分をメインに楽しめれば良いんじゃないかなぁ、と。




■歴史好きにはたまらない舞台設定

このゲームはアメリカ合衆国マサチューセッツ州のセイラムが舞台になっています。

世界の歴史好きの方はこの名前を聞いてピンと来たと思います。あのセイラム魔女裁判の地です。
地獄少女 二籠のラスト付近のように、芋づる式に魔女と思われる人間の告発し合いのせいで処刑の嵐になった、あのセイラムです。


本作のストーリーやバックボーンにも魔女裁判は非常に強く絡んできます。

そんなこともあってか、序盤で出会う少女が何者なのか? とか、ベル・キラーの正体・目的は何なのか? という点が
魔女裁判というワードで当てはめると中盤くらいから予想できてしまいます。

これも詳しく語るとネタバレになるのでカットしますねッ!



もし、これからプレイするという方。これを見ている方。

あえて図書館やインターネットであまり詳細に魔女裁判については調べないでプレイしていただきたい。

じょじょに魔女狩りの忌まわしい過去と歴史が明らかになって事件とつながっているという感覚がミソでもあるので
あまり詳しく知っていると面白みが半減する可能性があります。というか半減する。




■ストーリーが短いしやりこみ要素が無い

本作における最大の欠点。ストーリーが短い。
というのも基本一本道のわりにメインの街が狭く、事件捜査するロケーションも教会とか精神病院とか7個くらいしか無い。

時系列も開始からエンディングまで、全部が一晩のあいだの出来事。

サブイベントとか収集とか一切無視してメインだけ進めた場合、たぶん7〜8時間かもっと短い。自分はフルコンプクリアで10時間くらい

本当に現実のプレイも一晩で終わる。



やりこみ要素も怪談集めやロナンの思い出集めですが、ストーリーをよく理解したい場合は集めて良いと思います。
怪談とかすごい良かったし。
しかし、他の収集物がほぼ床に落ちているのに対して、幽霊の少女からのメッセージは壁にステルスされている。
ノーヒントな上にトロフィーに関わるので、これだけは攻略サイト必須。


成仏させるイベントもゲーム中たった4回だけ

ちょっと前に街の幽霊たちが面白いみたいなこと書きましたけど、会話しかできないので……
成仏関連のイベントはもうちょっと増やしてほしかったなぁ


捜査・推理パートは、PS3で発売されたL.A.ノワールよりはわかりやすく簡単。
ですが間違ってもゲームオーバーっていうこともなく、結果的に総当たりでやればそのうちなんとかなる。

この推理パートでは警察バッジを模したマークがあって、ミスすると減るのですが減ったところでデメリットは無い。

L.A.ノワールみたいにプレイヤー評価やトロフィーに関係するってこともなく、単なる自己満足。完全に死に要素。


で、個人的に一番しんどいと思ったのはマップやガイドが無いこと。

いくら幽霊になっていろんなものがすり抜けられるとはいえ、いくら街が狭いからとはいえ
ミニマップも何も用意しないとは何を考えているんだ……

メインストーリーではちゃんと次の目的地への矢印が出るんですが、次の目的地しか指してくれないので
例えば、博物館に行く途中にちょっと前に行った共同墓地にもう一度行って、取りこぼしアイテム回収したいな〜……って思っても共同墓地の場所が全然わからない
ひたすら歩きまわって「そうだ! たしかこの辺だった!」ってなるしかない。面倒くさい。迷うんだよ!!




☆総評☆

グラフィック B
音楽 B
ストーリー C
プレイ感覚 B
ゲームバランス C

・グラフィック:可もなく不可もなく。まぁ、キレイかなってレベル。
・音楽:たまにおどろおどろしい曲とかも。全体通すと環境音メイン。
・ストーリー:期待していたのと違う!
・プレイ感覚:難易度は低めでとっつきやすい
・ゲームバランス:ストーリーの短さと練りの足りなさが残念




ストーリーは途中でオチが見えて肩すかし
あと短いし、決して「そういうことだったのか! 鳥肌立った!」なことも無く
総当たりでゴリ押しできる捜査と推理は緊迫感ゼロ


これが税込み8400円だから、残念なんてものじゃないですな


早々に値崩れしたので、今はもう新品3000円くらいで買えます。俺は安くなったタイミングで買いました。

諸手を挙げて褒められるのは声優のキャスティングと、セリフのセンスでしょうか。
スタッフロール見たら、脚本を書いたのはスクエニ側みたいです。単なる意訳とかならあのセンスは出せないでしょうから、そこは評価できます。
だけど、このストーリー書いたのもスクエニだから何とも言えない。


面白くないとかクソゲーだとか、そこまででは無いんですよ。惜しいゲーム。
9000円近く出して買った人はガッカリなんてレベルじゃなかったでしょうが……

自分の場合は3000円ちょっとで買ったので、値段相応には楽しめたかなぁと。

冒頭でPS3版買って4版も買ったと書きましたが、あれは値段が暴落していたから2本目購入しただけです。


過度に期待を持たせて残念化するテンプレみたいなゲーム。素材が良かったが、調理器具が合っていなかった……。


でも収集物の内容は面白いので、みなさんプレイして集めて読んでください。怪談シリーズが最高ですよ!




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