アンチャーテッド エルドラドの秘宝 |
発売日:2007年12月6日(日本での発売日) 開発:Naughty Dog 発売:ソニー・コンピュータエンタテインメント |
掲載日:2014年11月3日 |
■PLAYする映画
もしも、映画を操作できたらどうだろう?
楽しいかな?
本当に操作できたらってことを考えてみると……
・アクション映画では肝心な部分でミスって死ぬ
・恋愛映画では女の子に良い感じのセリフをかけられずフラグが立たない
・動物ドキュメンタリー映画では動物にカメラが追い付けない
……これは、まあ、映画は観るだけのほうが一番良いね。
そんな感じで、PS3の発売初期に『PLAYする映画』なんて壮大なキャッチコピーを引っ提げて現れたのが
「アンチャーテッド エル・ドラドの秘宝」です!
開発したのはクラッシュバンディクーとかジャック×ダクスターとかを開発した、アメリカのノーティドッグ。
クラッシュは知ってるけどジャックを知らない?
面白いから買ってプレイしてください、1作目を。2作目は若干賛否両論だけど。
クラッシュやジャックと同様、自然や遺跡を使った情景の描き方はさすがといったところ。
このアンチャーテッドはPS3初期も初期、最序盤の発売作品にも関わらず
緑豊かなジャングル、空の青さ、川や海の水の表現、朽ち果てた遺跡……
自然というものをフルスペック使って出し切った、その映像美は圧巻です。
ソフト自体は、自分はかなり後になって購入したのですが、それでも「これすげぇな」って思っちゃうくらいの映像です。
■映画を意識したネタの数々
実写と見まごうほどの映像というのもあって、PLAYする映画のキャッチコピーそのまんま。
さらに、映画のようなネタというか”映画っぽさ”を加えることによって、より映画に近づきます。
アクション映画のようなシーンも数々演出でゲーム中に組み込まれており、例えば……
・主人公と一緒に冒険していた師匠が、序盤で敵の凶弾によって志半ばで死亡
・……と思ったら実は生きており、胸ポケットに入れていた主人公の先祖の遺品が銃弾を受け止めていた
・ジープで敵の猛攻を駆け抜け、壊れた橋を大ジャンプ
・敵ライバルとして現れたのは主人公の元相棒(終盤共闘するが、敵の攻撃を受け死亡)
・お宝のエルドラドは呪われており、呪いに触れた人間がバケモノに!
・エンディングではヒロインといい感じになってキス(しようとして失敗)
などの、ハリウッドのアクション映画あるあるネタやお約束が大量に散りばめられています。
さらに日本語吹き替え版も、吹き替えセリフのノリが完全に木曜洋画劇場とかあの辺。かなり良い味出しています。
というか、具体的には主人公ネイトと相棒兼師匠のサリーのセリフ&掛け合いのせいでそれっぽくなってる。
映画を動かしている点をより重要視するためか、画面にもインターフェース系表示は無し。ミニマップとか体力バーも無し。
銃標準と残弾数は銃を撃とうとしたときに出て、あとは申し訳程度にボタンアクション時に△やL2が出る程度。
体力は、減ってくると画面が白くぼやけることで判別できます。
■飛んで走って隠れて撃つ
ジャングルと古代遺跡の探検ですから、そりゃあもう道なんて無いわけですよ。
急流にある地面をポンポン飛んで渡ったり、朽ちた遺跡のでっぱりをつかんで上に登ったり、垂れ下がってるツタをつかって対面へ飛んだり
このゲームで地上移動以外のときは、だいたい壁につかまっている
たまにツタからのジャンプとかでっぱりからのジャンプで
「どう考えてもその距離はぴょんと飛び移れないだろ!」みたいなのが結構あります。
お前の腕力は一体どうなっているんだ。
トレジャーハンターだから体鍛えているとかそんな次元じゃないぞ。
もちろん遺跡・遺物は地面に転がっていたり壁際に立っていたりするわけです。
敵との銃撃戦の時もこれらが良い障害物になってくれるので、なかなか良いです。
……中には手榴弾やグレネードランチャーの一発で吹っ飛ぶ遺物もありますけどね。
この『隠れて撃つ』というFPSとかTPSでよくある動作は、本ゲームでは特に上位難易度で重要なファクターになります。
初級とかなら矢面に立ってバンバン撃っても平気ですが、上級とプロになるとそんなことをすればほぼ即死
隠れる→撃つ→隠れる→近寄ってきた敵をぶん殴る→隠れる→撃つ……
時間こそかかりますが、これらの繰り返しをしないと上位難易度は突破できません。
■ノーティドッグお約束のオマケ
クラッシュバンディクーシリーズで裏コマンド入れると特典映像とかが見れたり
クラッシュ3では本編進めるとオマケムービーが解放されたり(自分はアクアク製作職人のやつが一番好きです)
ジャックでは裏ワザで無駄に他言語版の吹き替えができたり
ネタを仕込むことに余念の無いノーティドッグ製ゲームですが、同じくこのアンチャーテッドにもそういうのがあります。
ある達成条件を満たすとメダルが貰えるのですが、メダルの種類に応じてポイントが付きます。
そのポイントが一定数を超えるとオマケが解放
・主人公の服装やグラ変更
・自由に武器選択。無限弾。一撃死チート
・ノーティドッグ社内のメイキング映像や写真
・コンセプトアート
・モーションキャプチャーの撮影現場ムービー
三割がゲームを有利にするもの、三割が文字通り見た目変えたりする要素、残り四割はノーティドッグ社内のおふざけ
ゲーム製作会社の社内や、モーションキャプチャーの現場が見られるのは本当にすごいオマケだった。
で、プロ難易度クリア以外のすべてのメダルポイント合計値が850なんです。
無限弾が860、一撃死が950必要だったりするので、どう頑張ってもチート効果を使えるのは最低3周目になります。
でも武器選択チートはメダル集めれば2周目から使えるので、上級はリボルバー撃ちまくっていれば多少楽(プロは初回プレイで使用できないので、初級〜上級2周目攻略時にどうぞ)
■映画を意識してるのに全然合っていない字幕
ここまでこれといって別段問題は無いこのアンチャーテッド
まぁプロがクッソ難しいというのはあるけど
PLAYする映画という部分をプッシュしているわりに致命的な欠陥があります
映画といえば字幕。吹き替え版とか言語版には字幕が付いていますよね?
元々がアメリカ製ゲームなので、音声の英語or日本語切り替えや、字幕有無がオプションで設定できまして
英語音声日本語字幕といった、より映画っぽいこともできます。日本語音声日本語字幕がデフォ設定です。
問題は、肝心の字幕が場面場面で合っていないこと
多少のアドリブとか、語尾がちょっと変わるくらいなら別に良いんですよ。
問題はまったく合ってない部分がゲーム中2ヶ所か3ヶ所ある点。
例えば、チャプター17でエレベーターを起動するときの場面は
映像:ネイトのセリフ「おあっ……おぉ? うわああああああああ!! (エレベーター落下) よし……」
字幕:「よし助かりぃ!生きてる」
違いすぎる
これはきっと英語版でそのセリフを言っていて、その字幕を付けたんだな! と思って英語音声にしたら
上記の場面でエレベーター落下まで言うセリフは「What the……?」の一言(+落下の際の悲鳴)
原語版でも言っていないセリフをどこからひねり出したのか
ただ、あくまで字幕が一部アレということであって、ゲーム性を阻害しているということではありません。
映画観てるっぽさは減るけど。
■ボリュームが足りない
映画っぽさを意識したためにゲームとしての面白みを殺している点もいくつか。
まずストーリー。
未開の地に行く→敵とのお宝争奪戦→脱出 というのがエンディングまでの流れなのですが
これが短い
とにかく短い
ゲームはとにかく面白くて引き込まれて、サクサク進んじゃうんですね。
全22チャプターですけど、1個1個が短いステージ構成のため、一気にプレイすると10時間程度で終わる。完全にボリューム不足。
映画って2時間とか3時間じゃないですか。たぶんそういうのもあってコンパクトにまとめたと思うんですけど……。
他には銃撃戦。
お宝を奪いに来た敵組織もいますから銃撃戦になりますが、このゲームは移動要素以外はほぼ銃撃戦です。
アクションゲームやってるはずなのに、プレイ感覚的にはほとんどTPS(サードパーソンシューティング)です。
敵が5体くらいいる→倒したら奥から増援が5体くらい出現→倒して進むと、来た道からさらに4体くらい増援が出現
みたいな展開がゲーム中に何回も何回もある。
コンティニューポイントがわりと多いこと、死んでも即コンティニューポイントから復帰できるのが救いですが
高難易度だとほぼ銃撃数発で即死するだけに、探索したいのに難しい銃撃戦で足を取られるのが面倒ではあります。
難易度低くすれば、銃撃戦もヌルくなるので快適ですがね。
☆総評☆
グラフィック | A |
音楽 | B |
ストーリー | A |
プレイ感覚 | B |
ゲームバランス | C |
・グラフィック:PS3初期にしてはかなり気合入ってる
・音楽:南米の自然っぽいBGMは雰囲気に合ってる。が、さりげなさ過ぎてまったく印象に残らない。
・ストーリー:木曜洋画劇場
・プレイ感覚:パルクールみたいに遺跡を飛び回るのは楽しい。
・ゲームバランス:面白いがゆえに短いのが残念。
初期作、しかも完全新作であるにも関わらず出来は良い。
ただ、2009年とか2010年作品みたいに技術が整う前の作品であるため、美麗だけど一部グラがペラい。樹の葉っぱとか。
映像の美しさと裏腹に、冒険させたいのがシューティングさせたいのかわからないシステムと
風景を堪能したいのにさっくり終わっちゃうのが本当に勿体ない。
もっと辛辣なレビューする人とかだと「映像だけの作品」とか評価下しそう。
しかし、ゲームとして面白いのは揺るぎません。
現在までPS3でアンチャ2と3、PS Vitaで外伝が発売。さらにPS4で4作目が製作中(2015年発売予定)ということからも
如何にこのゲームが面白いかを表しているでしょう。
みなさんも是非、PLAYする映画を体験してみてください。
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